クリームソーダ浴びたい

インターネットに恩返し

雨宮まみさん

雨宮まみさんの40歳がくる
08 欲望に溺れる

怖くなった。焦った。本当に思ってることを書かないと。力が足りなかろうが、求められてなかろうが、書かないと。必要だろうが必要じゃなかろうが、したいことをしないと。欲しいものを欲しいと言わないと。手を伸ばさないと。無駄だろうが、馬鹿げていようが、愚かなことであろうが、それをしないと、私は自分の人生をちゃんと生きていると言えない、と強く思った。

それは、別に「今年40歳になるから」ということがきっかけではなかったと思う。単に仕事について考えることが増えて、そこから、自分自身はいったい何なのか、みたいなことまで考えるようになったことが大きかった。去年好きになったばかりの女子プロレスで、いちばん好きな里村明衣子選手という女性が、あまりにもかっこよく、その人自身を生きている姿を見てしまったことも、とても大きなきっかけだったと思う。女は年齢じゃない、人間は年齢じゃない、志と生き方と姿勢で、いつまでも気高くいられる。そういうことを初めて、きれいごとじゃなく心の底から感じて、自分も自分自身で輝きたい、里村さんほどにはなれなくても、何かああいうオーラのようなものを放って、自分に酔いしれることができるようになりたいと思った。里村さんを知って、私は目標というものを得て、少しばかり無茶をしてみたくなったのだ。

結果、今年ほど楽しく、今年ほど苦しく、大変な一年はないという一年になりつつある。ここでハイブランドの服に手を出したりしないあたりが自分の、しっかりしてるところでもあり、思い切りが足りないところでもあるが、もうそんなことはどうでもいい。限界が知りたいわけじゃない。楽しめればそれでいい。安くても好きな服、着たい服を着るだけだし、高くても好きな舞台やプロレスを観に行くし、今年のこの程度の無茶は、すぐに帳尻合わせてやるよ、という気力だけはある。

その気力が、去年はなかった。ぜんぜんなかった。つまらない女を卒業した、という思いを、今年初めて味わっている。